SHUGO TOKUMARU / L.S.T.


〜Mist〜

薄れた目の前に ハサミで切る
東が燃える 揚羽の羽に
重ねた色の 闇が待っている

背中何考えている?
背中に何感じている?

空に赤が混じってゆく

朝にとけてく 雲にとけてく
白にとけてく 朝にとけてく
鏡にとけてく 体とけてく
部屋にとけてく 体とけてく

ハサミで切り抜く町の切れ端 消えてく

空き地に風が舞い降りてきて
らせんをえがくと 何か文字が見えてきた



〜ムシナ〜

蒸した夏のせいで 古びた看板が
またさび落とせば まだ赤くはない

家出中の子供が 指に絡めたカギで
手すりを鳴らすと サビが落ちる
また...。

満ち足りた夜に 満ち足りた夏に
満ち足りたせいで けむにまかれた

そして夏は過ぎて 古びた看板も
またサビ落として 役目を終える

凍えた夜になって
凍えた指から カギが離れない

蒸した夏のせいで 気が付けば
海辺で一人 眠っている



〜ミズカガミ〜

一寸ばかりか風に乗り
一寸ばかりか届かない
景色に色が付きはじめた頃
立ち上がろうとよろけて倒れた

揺れる波を見る
揺れる鏡の水の影を

海辺見とれてる君の目が
ないのさ、ここには、風が泣く
朝靄に重なる波の音

忘れてた船の音と 上がらない錨さ
「赤い朝に青い星を見た」と言うなら
錆び付いたあの嘘も デタラメなのかさまよわす
戻らない波にでも 聞いてみてくれよ



〜キイロ〜

キイロ
カワッタ
イツモ
ジラシテ
ヤクメヲ
ナクシテ
イスニ マタ
ヨリカカッタノサ

レーヨンで着飾った人形が 落ちそうで崖の淵で急に立ち止まる
目寄せて うつむせた顔を 部屋の床傾け 擦れたペンを転がす

レーヨンの生地まとった この目の前を横切っていったのは何?
見えなかった 風にしては遅すぎる

目寄せて うつぶせた顔を
部屋ごと傾けて 擦れたペンを転がす

傘で曇った朝映す 揺すると木から落ちて来た 何か
ノックノックノック

キイロ カワッタ キミヲ ツケテイタ



〜ビスタ〜

汚れたての明かり窓から パラパラ折れる枝を眺めてる
白い部屋には カラカラ揺れるステレオ

閉まるドア叩くと戻れて 後追われて投げ出す事で
枯れた柵の檻でもがくと ひび割れた鏡に映る

崩れたレンガの 目に焼き付いた通りの隅で眠る

うっすら目に見た 剥がれた夜を 絵に透かせれば
灰の降る町に 傘はなく 眠りにつくと
重ねたビスのように積もってく



〜雪の墓〜

日差し避けた手に 雨粒がふっと落ちて来て
一片の雲が地を黒く染めあげようとする
すると唐墨絵が浮かぶ

夜明けにホロリ雪灯り
身をカマクラに埋めるとする

雪の中に染み込む手に刺さる
掻き消された声はどこにある

ユラ ユラスンダ カラ カラスンダ
モヤ モヤスンダ サラ サラスンダ
ユラ ユラスンダ カラ カラスンダ
モヤ モヤスンダ サラ サラスンダ
ソラ カラスンダ ナミ モヤスンダ
ミエテル?



〜アマヤドリ〜

雨宿り橋の下で晴れるのを待っていたんだ
そんな時君と素敵な夢を見てた
指切りなんてできなかったんだね

本当は晴れるのなんて望んではいなかったんだ
ハリケーンのように過ぎ去った 休んでる間もなく
指切りなんていらなかったんだね

写真もない真っ白なアルバムを見てた
指切りなんてできなかったんだ
指切りなんていらなかったんだね



〜5A.M.(氷点下の涙 full ver.)〜

ルスニノモノケダンブジケダンユシツイ
ヲイカセテイタタトンパヲテニツトウト
タキテチオガルヨ ロソロソカウロエカ

ヨダンイイモテツクナエタウモ
ヨダンイイテクナサカマゴウモモミキ
クナニミヤイナモニナ ロソロソカウロエカ

タツカナハデメユハノモタイテエミキトノソ

塀の中さざ波がさらさらさらり
砂の城の中でカニが泣いている
そっとパラパラと雨が降り
夢の中で僕は家に帰る



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